百のぼんやり雑記帳

Twitter(@Centouno_101)で書き切れないことを書きたいときに使う場所。なんかアレ。

香水の話 ワットアバウトポップ|おいしい香り

 最近、Nose Shop(ノーズショップ)という香水セレクトショップオンラインストアで香水を買ってみました。

 The House of Oud(ザ ハウス オブ ウード)というブランドの『ワットアバウトポップ|おいしい香り』(本国表記:WHAT ABOUT POP)という香水。試してみて「香水ってまず“作品”なんだな」と思ったので、文法上適切ではないかもしれないけど二重鉤括弧を使ってみている。

 

 こちらから購入。

ワットアバウトポップ|おいしい香りnoseshop.jp

 

 The House of Oud公式サイトでの説明ページはこちら。

thoo.it

 

 以下は香水初心者によるふわっとした感想です。

 

 何というか、感動した。とても。

 確かに、日本名(二つ名?)の通り「おいしい香り」ではある。でもその前にちゃんと香水してる香りなので、おいしさだけを期待するとちょっと面食らうかもしれない。

 特徴的かと思われる香りの要素として、トップノートの「ポップコーン」と「キャラメル」がある。最初にスプレーがちゃんと使えるか試すため数度ティッシュに向けてプッシュしたときにはあまりポップコーンっぽさを感じなくて、花っぽい香りが前面に来てたんだけど、自分の肌に乗せると塩気のある香ばしさと甘さがよく理解できる。キャラメル感はポップコーン感に比べてやや奥にある感じかな。その後に時間をかけて香ばしさの輪郭がなめらかになってきて、最終的に、お線香に近い木の匂いをうっすら含む「なんかおいしそうな香りのする甘い香水」とでもいうような穏やかな香りに着地する。決して軽い香りではないものの、あまりべたべたしていないからか、著しく重たいという印象でもない。

 ええと、まあ、何というか……その……ぼんやりした文だこと! 初心者は、たとえ香りの構成が書かれていても「この香りがこれに対応する」ということそのものがよく分からないのである。

 全体の雰囲気としては、明るいけど明るいだけではない。上手く表現できないなりに書けば……「屈託ない香り」ではなくて「『屈託はあるけど人生にはほっとできる時間もあるよね』の香り」というか。

 あと……この香水、一人の香りではない。孤独じゃない香り。何となく自分じゃない誰かに思いを馳せたくなる。本当に不思議。もし誰かから「この香りからワンシーン小説を考えろ」と言われたら、私の考えるその場面には少なくとも二人の人物(一定以上に仲がよい)が登場するだろうと考えるような香り。The House of Oud公式の説明文には「complicity」、ノーズショップの紹介文には「共犯関係」という表現がさらっと出てきてるの、改めて読むとなるほどなあと思う。秘すべきことについて口を割らないと信じることのできる自分以外の誰かが存在していなければ、そもそも共犯という関係そのものが起こりえない。

 私がこの香りで頭に浮かぶのは「ねえねえ、これ二人だけで食べちゃおうよ」「これ明日のパーティ用じゃないの? それに、こんな時間にお菓子なんて」「明日の朝イチで何か別のやつ買いに行こ、ちょっとした散歩も兼ねてさ」「……そっか、そうしよっか!」みたいな親友同士のやりとり。映画を観ながら更けていく夜、なめらかにソファへ忍び寄る眠気。怠惰で、不健康で、でも人生には絶対に必要な楽しさ。あたたかな共犯。

 時間経過による香りの変化が大きいのかと言われると私の鼻ではそう詳しく分からないんだけど、不思議と物語性とでもいうような“時間”の存在を強く感じる。実を言うと、このブログを始めたのは、この香水に「香水ってただ『いい香り』というだけじゃないな」と感動したのがきっかけ。Twitterでは文字数が足りない……!

 私の好きなつけ方は「のんびりできる休日の前夜、寝るまでの時間に」「休日の柔らかな午後に」。この記事を書いている今も少しつけていて、家でほわほわ過ごすクリスマスにもぴったりだなあと思っている。

 同じブランドかつノーズショップで買える香水だと『キープグレーズド|抗えぬ誘惑』も好みっぽそうな香りで、折よくその香水をラインナップに含むムエットセットが販売されていたので買ってみた。届くのが楽しみ。小さいサイズがあってお茶系の香りらしい『ザタイム|現在』も気になる……。